桂離宮
桂離宮は 京都市西部を流れる桂川の西岸 桂川大橋の袂にあります。
宮内庁「桂離宮への交通案内」
参観は無料ですが 三ヶ月前からの予約が必要です。
宮内庁 参観申し込み
宮内庁「桂離宮」施設案内
桂離宮 月波楼 げっぱろう
月波楼は古書院と並んで池辺に建てられた 観月のための茶亭で 南側は柿葺の寄棟造り 口の間は低い切妻屋根になっています。
北向きの破風には「月波楼」の額がかかっていますが 「月波楼」の名は 白楽天の西湖詩にある句より採ったものです。
「月点波心一顆珠」 : 月は波心に点じ一顆の珠
「歌月」の扁額は霊元上皇の宸筆と伝えられ 土間の上がり口上方には近くの御霊社にあった唐船の絵馬額が掲げてありますが ほとんど絵は消えています。
「月波楼」の周辺は 下図のような位置関係にあります。
月波楼 手水鉢脇の石灯籠
手水鉢の脇に埋け込みの石灯籠が添えられていますが 織部型ではありません。
手水鉢の正面からでは松の陰になりますので 裏側からの方が見やすいかもしれません。
桂離宮 月波楼 鎌型手水鉢
月波楼の口の間の前に据えてある手水鉢は 水穴を鎌の刃に 右手の出張った部分を柄に見立てて 「鎌型手水鉢」と呼ばれています。
庭内の四つの茶亭は それぞれ春夏秋冬の性格を持つ と言われています。
四つの茶亭の 春・夏・秋・冬
「春」 : 笑意軒
前面のツツジが美しく 対岸には梅の馬場
「夏」 : 賞花亭 水蛍灯籠
消夏のための小亭であり 付近には水蛍灯籠
「秋」 : 月波楼 鎌型手水鉢
観月のための茶亭であり (刈り入れの)鎌型手水鉢
「冬」 : 松琴亭 二重枡形手水鉢
暖房のための石炉があり 外腰掛には(収穫を量る)二重枡形手水鉢
秋の刈り入れを意味する鎌型の手水鉢に対して 冬の性格を持つ松琴亭の待合である外腰掛にある「二重枡形手水鉢」は 枡で収穫を量る晩秋を象徴するもの と言われています。
桂離宮 月波楼よりの眺め
月波楼の東面には池が広がり 水面に浮かぶ月影を眺めることが出来 遠く松琴亭も見ることができます。
「楼」と呼ぶには無理がある平屋建てですが 小高い盛土の上に建っているので 池の面を広く見下ろすことができ 古書院の月見台が主に月の出の観賞を目的としているのに対し ここでは池水に映る月の影を賞したようです。
北側の窓からは紅葉山が見え秋には紅葉を楽しむことが出来ますが 住吉の松の両側の刈り込みのため こちらからは池は見えない趣向になっています。
冬になり紅葉が葉を落とすと 外腰掛の蘇鉄の姿を見ることができます。。
一の間と二の間の境の襖には明かり取りのための障子が組み込まれた「源氏襖」が使われています。
襖の引き手は機の杼(ハタのヒ) 唐紙は紅葉。
紅葉の上に雲母(キララ)で観世水が摺られていて龍田川の風情を表し 鎌型手水鉢と共に 「秋」を表しています。