桂離宮
桂離宮にある七つの織部型石灯籠を中心にしたアルバムですが 「松琴亭」や「月波楼」など各所の画像もご覧いただけます。
右にある「参観順路」からは 外周から苑路に沿って順にご覧いただけます。
「桂離宮」略図
からは 地図上をクリックして各所をご覧いただけます。
織部型石灯籠(織部灯籠)
「キリシタン灯籠」は石灯籠の形としては「織部型石灯籠」に分類されます。
織部型石灯籠の特徴としては
・竿を直接土中に立てる埋け込み型
・露盤付きの宝珠
・波型の屋根を持つ四角形の笠
・四角形の火袋と中台
・断面が長方形で上部が十字形または膨らみを持った竿
古田織部が好んだことにより 「織部型石灯籠」、「織部灯籠」と呼ばれます。
織部灯籠には 竿石の左右にふくらみの無いものもあり ふくらみの部分に「FILI」などキリストを 表わす文字が組み合わされた記号が彫り込まれていたり その下に「マリア像」と言われるレリーフが 見えるものもあります。
石灯籠
元々は社寺の献灯であった灯籠が 茶の湯の流行と共に桃山時代の頃より 茶庭(露地)の照明に使われるようになりました。
社寺の献灯には大きな青銅製の灯籠も見かけられますが 茶庭(露地)に置かれるのは小さめの石灯籠に限られるようです。
織部灯籠は茶庭(露地)に相応しく 蕨手や蓮弁などの装飾を廃し自然に溶け込むような簡素な形であり 基礎を使わず 竿石を土中に埋け込むことにより高さを調節して 飛石の足元や蹲踞などの低い位置を照らすことができるように工夫されています。
古田織部と本郷織部
「織部灯籠」の他「織部焼」にも名を残す古田織部は 戦国時代から江戸時代初期の武将であった一方 その父同様茶人でもあり 「織部流」という茶道流儀の始祖でもありました。
独特の感性と美意識を持った方のようで 秀吉や秀忠はじめ諸大名に茶を指南する立場になったことにより 「織部灯籠」や「織部焼」は 広く用いられるようになり 茶庭(露地)の作庭の折には好んで「織部灯籠」が使われたようです。
「織部」というと「古田織部」のことを思いますが 「織部正」に任ぜられた者は皆そのように呼ばれたようです。
八条宮家に仕えた本郷織部も同様に 「従五位下織部正」という官位に叙任されています。
キリシタンとして処刑された本郷織部のために 桂離宮の庭に「キリシタン灯籠」が置かれたのか? 「織部」ということから「織部灯籠」が置かれたのか? 単に当時流行りの茶庭(露地)の装飾として置かれたのか?
いろいろ想像することしか出来ませんが 興味深く感じました。